遠州の屋台の主役は彫刻です。それを誰に彫ってもらうかが、
一番大事な事だと思われます。本体は、伝統の木割と工法で、
作るものなので、誰が作っても、同じになるからと言うのが、
一般的な考えのようです。自分達は屋台作りが初めてでしたが、
彫り師選びに関しては、成功したなと思っています。なぜなら、
自分達が推薦した彫り師の方は、小学生の頃から、彫刻を始めた
人で、彫りはもちろん、屋台、祭り全般に広い知識が有り、色々な事を教えて
貰う事が出来たからです。まず、(柱幅より大きな虹梁は無い、)
(虹梁の延長が木鼻なので、大きすぎない事、)(蛙股は斗組にあまり
被らせず、山形なもの) などで、その中でも、最初に言われたのが、
彫刻材の選び方です、「まず基本は板目の木を選ぶ事、なぜなら、
こぶ状に彫った時、等高線のような輪が現れ。より立体的に見れるから」
だそうです。日本の彫り師の基本だと言う話でした。柾目はダメだそうです。
この屋台では、自冶会の人と彫り師が何度も協議をし、彫りを決め、
製作途中にも、何度も見に行きました。そうでなければ、良い屋台は、
出来ないと思います。